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Instagramの新機能と広告アップデート完全ガイド- マーケティング戦略への影響と活用法

生活者の「発見→比較→行動」はSNS上で完結することが増えています。

Metaが提供するInstagramプラットフォームにおいて、マーケティング業界に大きな影響を与える新機能が続々と導入されています。

オーガニック機能の拡充から広告配信システムの改善まで、これらのアップデートは企業のSNSマーケティング戦略に新たな可能性をもたらしています。

リポストや友達タブ、位置情報共有などオーガニック機能が強化され、広告面では、Meta広告(Instagram広告・Facebook広告の総称)において、ストーリーズのCTAステッカーをブランドに合わせてカスタマイズできるようになりました。

本記事は、これらの最新アップデートを店舗ビジネスとECサイトでの活用視点で整理し、シナリオ・設定手順・KPIまで実務で使える形で解説します。
 
※本稿の「Meta広告」はInstagram広告とFacebook広告の総称として用います。
 
出典元:「Instagram、コンテンツの再投稿ができる機能やInstagramマップなど、友達とつながるための新機能をローンチ」https://about.fb.com/ja/news/2025/08/new-instagram-features-help-you-connect/ 

 ポッドキャスト・Biz Trend Expressもお聴き下さい。
 
Biz Trend Express「Instagram最新機能とMeta広告戦略:店舗ビジネスを成長させる発見体験の作り方」
6:40
 
 

1. Instagram新機能:オーガニックコンテンツの進化

Instagramは2025年8月7日、ユーザーエンゲージメントとコンテンツディスカバリーを向上させる3つの主要機能を日本でも正式にローンチしました。これらの機能により、マーケティング戦略に新たな展開がもたらされています。

1. リポスト機能の導入

リポスト機能の特徴
新しく導入されたリポスト機能は、ユーザーが他のユーザーのコンテンツを自分のフォロワーに簡単にシェアできる機能です。

・フィード表示:リポストされたコンテンツは友達やフォロワーのフィードにレコメンドとして表示されます。
 

・プロフィール統合:リポストしたコンテンツは、プロフィールの専用タブに整理されて表示されます。

・リーチ拡大:オリジナル投稿者のコンテンツが、より広いオーディエンスに到達する可能性が高まります。

※最新アルゴリズムとの連携
2025年現在、エンゲージメント指標は「いいね!」よりも「コメント」「シェア」「保存」など深い関与が重視される形に進化しています。オリジナルコンテンツを優遇し、リポストアグリゲーター・キュレーション系アカウントは制限される流れになっています.

2. 位置情報共有機能(Instagramマップ)

位置情報共有機能の詳細
位置情報はオプトイン(初期オフ)、共有相手の範囲指定が可能、保護者の管理機能あり。DM受信箱上部からマップにアクセスでき、自分が共有オフでも位置タグ付きコンテンツは地図上で探索可能。

・オプトイン方式:ユーザーが明示的に選択しない限り、位置情報共有は無効状態を維持

・マップ機能:位置情報共有の設定に関係なく、地域ベースのコンテンツ探索が可能

 

3. リール内「友達タブ」機能

友達タブの革新性
リールエクスペリエンスをソーシャル要素で強化する新機能です。
・ソーシャル発見:友達がいいね、コメント、リポストしたリールを効率的に発見。

・エンゲージメント可視化:友達の行動を通じて、関心の高いコンテンツを特定。

・コンテンツ品質向上:ソーシャルシグナルによるコンテンツの質的評価が可能。

可視性設定:「設定>友達タブでのアクティビティ」から、自分のアクション公開範囲を制御可能。


2. Instagram広告の基本情報

新機能の活用方法を理解する前に、Instagram広告の基本的な仕組みと特徴について確認しておきましょう。Meta広告プラットフォームを通じて配信されるInstagram広告は、精密なターゲティングと多様な広告フォーマットにより、効果的なマーケティング活動を支援します。

Instagram広告の種類と特徴

主要な広告フォーマット
フィード広告:ユーザーのメインフィードに表示される画像・動画・カルーセル広告
 
ストーリーズ広告:24時間で消える縦型フルスクリーン広告(今回のアップデート対象)

リール広告:縦型短動画形式で、発見タブやリールフィードに表示

発見タブ広告:ユーザーが新しいコンテンツを探索する際に表示される広告

ショップ広告:Instagram Shopping機能と連携した商品カタログ広告
 Instagram広告フォーマット種類
ターゲティングオプション
 
精密なオーディエンス設定
デモグラフィック:年齢、性別、地域、言語による基本的なターゲティング

興味・関心:ユーザーの行動履歴や興味に基づいたターゲティング

行動ターゲティング:購買行動、デバイス使用状況、旅行パターンなど

カスタムオーディエンス:既存顧客リストやウェブサイト訪問者のリターゲティング

類似オーディエンス:既存顧客に類似した特徴を持つ新規ユーザーへのリーチ
 
主要なパフォーマンス指標
 
効果測定の重要指標
 
リーチとインプレッション:広告の表示回数とリーチしたユーザー数

CTR (Click Through Rate):クリック率による広告の魅力度測定

CVR (Conversion Rate):コンバージョン率による成果効率の評価

ROAS (Return On Ad Spend):広告費用対効果の直接的な測定

エンゲージメント率:いいね、コメント、シェア等の反応率
 
 

  3. Instagram広告:ストーリー広告の新たな可能性

Instagram広告においても重要なアップデートが実施されました。特に注目すべきは、ストーリーズ広告におけるCTAステッカーのカスタマイズ機能の追加です。

ストーリーズのCTAは、現在はリンクステッカーと配置調整が標準

一方で、ブランド固有デザインの“Creative Sticker”は一部でテスト中(年内にStoriesへ段階展開予定)のため、現時点ではアカウントによって提供状況が異なる

CTA Creative Stickerのテスト開始(Cannes 2025):Facebookで先行、Instagram Storiesは年内予定。

ストーリー広告ステッカーCTAカスタマイズ機能

カスタマイズ機能の詳細
従来の固定デザインから脱却し、ブランドアイデンティティに合わせた柔軟なCTA設計が可能になりました。
 
デザインカスタマイズ:デフォルトデザインからの完全な変更が可能
 
配置の自由度:ステッカーの位置を自由に調整
 
スタイル調整:サイズ、色彩、フォントスタイルの細かな調整

後方互換性:デザインを指定しない場合は、従来のデフォルトデザインを自動表示


設計3原則

・世界観:ブランドの色・書体・余白を踏襲(オーガニックと同一トーン)

・視認性:背景とCTAのコントラスト確保(必要なら半透明パネル20–30%)。

・意図一致:視聴動機(知る/比較/買う/行く)とCTA文言を一致。上下左右**10–15%**を安全余白。

デザイン指針(色/サイズ/フォント/配置)

・色:常用はブランド色、重要告知のみアクセント色。

・サイズ:S/M/Lの3段階。原則M、強訴求はL。

・フォント:混在NG。太字+最小14–16px相当。

・配置:右下(親指ゾーン)を基本。主CTA1+副CTA1まで。

CTA文言ライブラリ

・上流:詳しく見る/実例を見る/口コミを読む/店内を見る/使い方を見る

・中流:料金を見る/プラン比較/在庫を確認/メニューを見る/サイズ表を見る

・下流:今すぐ購入/カートに入れる/地図を見る(3分)/席を予約/本日のクーポン

不安低減の一言:(送料無料)(当日OK)(30日返品可)

画面テンプレ

・商品訴求(9–12秒):便益→使用/価格→レビュー→主CTA(右下)

・店舗来店(8–10秒):本日の特典→店内/混雑→地図/予約

・不安解消:FAQ短尺×3本→購入/相談CTA

 

  4. マーケティング戦略への影響と活用方法

マーケティング戦略とデータ分析

 

これらの新機能は、企業のInstagramマーケティング戦略に以下のような影響と機会をもたらします。

オーガニックマーケティングの戦略転換

・リポスト機能の活用:ユーザー生成コンテンツ(UGC)戦略の重要性がさらに高まり、ブランドアンバサダープログラムの効果を最大化できます


・位置情報マーケティング:地域密着型ビジネスや店舗マーケティングにおいて、新たなローカル顧客獲得チャネルとして活用可能です。

・ソーシャルプルーフの強化:友達タブ機能により、信頼性の高いコンテンツ推薦システムが構築され、オーガニックリーチの質的向上が期待できます


広告クリエイティブの最適化戦略

ブランド一貫性の向上:CTAステッカーのカスタマイズにより、ブランドガイドラインに完全に準拠した広告制作が可能になります。

A/Bテストの拡充:CTAデザインのバリエーション測定により、より精密なパフォーマンス分析が実現できます。

ユーザーエクスペリエンスの向上:ターゲットオーディエンスの好みに合わせたCTAデザインにより、クリック率とコンバージョン率の改善が期待できます。

 

データ分析と測定の進化

エンゲージメント質的分析:リポスト数や友達経由の流入データにより、コンテンツの真の影響力を測定できます。

地域別パフォーマンス:位置情報機能により、地域ごとのマーケティング効果をより詳細に把握できます。

クリエイティブ最適化:カスタマイズされたCTAの効果測定により、デザイン要素の ROI を定量化できます 。

 

5. 今回のアップデートを活用した具体的なマーケティング提案

新機能を実際のマーケティング活動に組み込むための、業界別・目的別の具体的な活用提案をご紹介します。これらの提案は、すぐに実装可能な実用的なアプローチとして設計されています。

業界別活用事例とアプローチ業界別Instagram活用事例

 
Eコマース・小売業界
・UGC×リポスト戦略:顧客の商品使用写真をリポストして、アンバサダー効果を最大化

・位置情報活用:実店舗周辺ユーザーへの来店促進キャンペーン
 
・カスタマイズCTA:「今すぐ購入」「詳細を見る」のデザインを商品カテゴリー別に最適化
 
レストラン・飲食業界
・友達経由発見:友達タブを活用した口コミマーケティングの促進
 
・ローカルマーケティング:位置情報機能による近隣住民へのリーチ強化
 
・季節別CTA:「予約する」「メニューを見る」のビジュアルを季節・イベント別にカスタマイズ
 
美容・ファッション業界
・インフルエンサー連携:リポスト機能を活用したインフルエンサーコンテンツの拡散

・トレンド発見:友達タブから流行の兆しを早期発見・活用

・ブランド統一CTA:ブランドカラーとフォントを統一したCTAデザイン

具体的なキャンペーン設計例
 
「UGCリポストキャンペーン」設計例
目的:ブランド認知度向上とエンゲージメント増加

Step 1:ブランドハッシュタグを使用した投稿を促すコンテスト開催
Step 2:優秀な投稿を公式アカウントでリポスト
Step 3:リポストされたコンテンツにカスタマイズされたCTAを付加
測定指標:リポスト数、リーチ拡大率、エンゲージメント率
 
 
「ローカルディスカバリーキャンペーン」設計例
目的:地域密着型ビジネスの新規顧客獲得(位置情報機能日本でも利用可能)

Step 1:店舗周辺エリアでの位置情報ベース広告配信
Step 2:来店顧客による位置情報付き投稿の促進
Step 3:友達タブ経由での口コミ拡散効果測定
測定指標:位置情報経由の来店数、友達経由の発見数
 
実装ステップとタイムライン

段階的実装アプローチ
フェーズ1(即座に実装可能):
CTAカスタマイズ機能の導入とA/Bテスト開始
UGC収集戦略の策定とリポスト準備
既存コンテンツの友達タブ対応最適化
 
フェーズ2(全機能が利用可能な現在):
位置情報マーケティング戦略の本格実装
友達タブ機能を活用したコミュニティマーケティング
地域別パフォーマンス分析システムの構築
 
 
成功指標の設定と測定方法
 
新機能対応KPI設定
 
リポスト機能関連指標:
リポスト率 = リポスト数 ÷ 総投稿数
リポスト経由リーチ拡大率 = リポスト経由リーチ ÷ オリジナル投稿リーチ
UGCエンゲージメント向上率 = UGCエンゲージメント ÷ ブランドオリジナルコンテンツエンゲージメント
 
CTAカスタマイズ関連指標:
カスタマイズCTA vs デフォルトCTAのクリック率比較
ブランド統一CTA使用時のブランド認知率向上
CTA色・サイズ・配置別のコンバージョン率分析
 
 
位置情報活用指標:

位置情報経由の店舗訪問数
地域別エンゲージメント率
ローカルコンテンツのバイラル係数
 
 

 6. まとめと今後の展望

今回のInstagram機能アップデートとMeta広告の改善は、ソーシャルコマースとコミュニティマーケティングの融合という大きなトレンドの一環として位置づけることができます。特に注目すべきは、プラットフォームがユーザーのプライバシーを尊重しながらも、マーケティング機会を拡大している点です。

マーケティング担当者は以下の点を重点的に検討することをお勧めします:

  • リポスト機能を活用したUGC戦略の再設計
  • 位置情報機能を活用したローカルマーケティング戦略の実装
  • CTAカスタマイズ機能を活用したクリエイティブテストの計画立案
  • 新機能に対応した効果測定KPIの再定義

これらの機能は段階的に展開されるため、継続的な情報収集と戦略の柔軟な調整が成功の鍵となるでしょう。Meta広告エコシステムの進化に合わせて、マーケティング戦略も継続的に最適化していくことが重要です。

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