新年度のマーケティング施策に音声メディアを──ポッドキャスト広告の効果と進化
新年度を迎えるにあたり、多くの企業が新たなマーケティング戦略の立案や予算の再編に取り組んでいます。その中で今、改めて注目を集めているのが「ポッドキャスト広告」です。音声コンテンツ市場の成長に伴い、企業と生活者を自然につなぐ新しい広告メディアとして、ポッドキャストは着実に支持を集めています。
本記事では、広告効果を最大化するためのクリエイティブの在り方や、リスナーに受け入れられる広告の表示頻度について、解説していきます。
資料提供:ロボットスタート株式会社 様 https://robotstart.co.jp/

- 数字でみる音声広告‐成果に直結する「クリエイティブ」と「メッセージの絞り込み」
- 効果を最大化するには?音声広告クリエイティブの最適解
- 広告の「受け入れられ方」とは?
- 広がる可能性ー新しい活用事例と取り組み
- 新年度に向けた“音声マーケティング”の提案
第1章:数字でみる音声広告‐成果に直結する「クリエイティブ」と「メッセージの絞り込み」
1-1. 売上に最も影響を与えるのは「クリエイティブの力」
上記の調査データとして、約450の広告キャンペーン分析から、広告効果の49%を占めるのは「クリエイティブ」であり、ブランド力やリーチ、ターゲティングよりも、何をどのように伝えるかが最も売上への寄与度が高いという調査結果です。これは、視覚に頼らず言葉と音のみで構成されるポッドキャスト広告において特に重要な示唆です。
「クリエイティブは広告パフォーマンスの主要ドライバーであり、投資規模に次ぐ重要要素である」
— Analytic Partners
音声広告では、視覚に頼らず「音声だけで印象を残す」必要があるため、このクリエイティブの重要性は他のメディア以上と言えるでしょう。
1-2. メッセージが少ないほど記憶に残る
また、上記の調査結果では、広告内のメッセージが1つのときと4つのときとでは、メインメッセージの記憶率に57%もの差が出ることを示しています。広告に含まれるメッセージの数が増えるほど、ひとつのメッセージが記憶に残る確率は大きく下がることがわかっています。
メッセージ数 | Message 1の想起率 |
1つ | 100% |
2つ | 65% |
3つ | 62% |
4つ | 43% |
つまり、複数の訴求を盛り込みすぎると、結局「何も残らない」状態に陥るのです。ポッドキャスト広告のように“耳”だけに情報が頼る媒体では、ワンメッセージ主義が想起率向上の基本となります。
1-3. 言葉を削れば、広告の印象が強くなる
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さらに上記グラフでは、「音声広告のワード数(Words Per Minute)」と「クリエイティブの印象度(Creative Standout)」の相関が明らかになっています。
-
10語削減するごとに、印象度が平均1%向上
-
単語数が多くなると、逆に印象が埋もれてしまう傾向
上記のグラフでは、WPM(1分あたりの単語数)が減少するほど、「この広告は印象に残る」と答える人の割合が増加していることが分かります。これは視覚情報のない音声広告において、情報を詰め込みすぎず、言葉に「余白」を持たせることの重要性を示唆しています。
1-4. ポッドキャスト広告に活かすために
-
広告効果の約半分は“内容”で決まる
-
メッセージはできるだけ絞る
-
言葉数を減らすと印象が強まる
ポッドキャスト広告は、映像や文字による補完がない分、「語り」の工夫こそが最大の勝負所です。絞り込んだキーメッセージを、余白あるテンポで、印象的に届ける──その積み重ねが、リスナーの記憶に残り、行動を生む広告に繋がります。
第2章:効果を最大化するには?音声広告クリエイティブの最適解
ー聞き流されない広告を作るための5つのポイントー
2-1. 広告効果を決めるのは「クリエイティブの質」
2-2. 「注目 → 維持 → 記憶」に導くストーリー設計
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注目(Attention):最初に耳を引く
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維持(Retention):最後まで聞かせる
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記憶(Memory):聞いたあとに印象が残る
音声広告においては、冒頭10秒のインパクトが鍵になります。聞き手が「これは自分に関係ある」と思えるフックを入れ、自然なストーリーテリングで離脱を防ぎ、印象的な言葉や効果音で締める。このような一貫した流れが求められます。
2-3. メッセージは1つに絞る
Kantar Millward Brownの調査からも明らかなように、メッセージが多ければ多いほど、記憶される確率は低下します。1つの広告に詰め込めば詰め込むほど、結果的に「何も残らない」リスクが高まります。
ポッドキャスト広告は30秒〜60秒程度が一般的。ここに入れるメッセージは、ブランド名+ベネフィット(利点)程度に絞るのが理想です。
言い換えれば、「〇〇と言えばこの商品」と、記号化されるくらいに簡潔な構成がベストです。
2-4. 単語数を減らすことで印象が際立つ
前章でも触れましたが、Colourtext社の分析によれば、10語削るごとにCreative Standout(印象度)が約1%向上するというデータがあります。
これは音声広告特有の現象とも言えます。なぜなら、人間の耳には「音の密度」がそのまま心地よさや集中力に関わってくるからです。
余白や間(ま)を持たせた言葉選び・語り口が、広告を際立たせるポイントになります。
2-5. 記憶に残すなら「サウンドロゴ」が最短距離
Veritonic社の調査によれば、サウンドロゴを使用した広告は、ブランドとの紐づけ想起率が最大7.5倍になると報告されています。
短く、音だけで瞬時にブランドを認識できるサウンドロゴは、ポッドキャストとの相性が抜群です。
テレビCMでいうジングルに相当し、**「〇〇と言えばこの音」**という記憶形成を促します。
近年では、Apple、Netflix、Indeedなども音声ブランディングに積極的で、聴覚ベースのブランディングは今後ますます重要性を増すと考えられます。
【参考】https://www.veritonic.com/blog/the-audio-advantage-elevating-brand-experience-through-sound/?utm_source=chatgpt.com
https://info.veritonic.com/2022-audio-logo-index?utm_source=chatgpt.com
Veritonic社の調査によれば、リスナーの58%がブランドの音声アイデンティティを視覚的要素よりも記憶に残りやすいと感じ、51%が音がブランドへの感情に大きな影響を与えると回答しています。
さらに、2022年の「Audio Logo Index」では、約90のブランドの音声ロゴを評価し、音声ブランディングが消費者とのエンゲージメントや市場シェア拡大に寄与することを示しています。
また、Instreamatic社との共同調査では、AI生成のパーソナライズされた音声広告がブランド好感度を22%、購入意欲を18%、ブランド認知を12%向上させる効果が確認されています。
これらの調査結果は、音声ブランディングが消費者の記憶や感情に強く影響し、ブランド認知や購買意欲の向上に効果的であることを示しています。
第3章:広告の「受け入れられ方」とは?
― リスナーに嫌われずに響かせる“最適な頻度”と“安心感の設計”
ポッドキャスト広告の成果は、いかに効果的に届けるか(クリエイティブ)だけでなく、いかに自然に受け入れられるか(ユーザー受容性)にも左右されます。広告そのものがどんなに良くても、「うるさい」「しつこい」と感じられては意味がありません。
3-1. リスナーが「嫌悪感」を持つ原因とは?
KANTAR社のグローバル調査によれば、音声広告は他メディアに比べて“好感度”が高い一方、下記のような場合にはネガティブな印象を抱かれることも明らかになっています。
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同じ広告が繰り返し再生される
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会話を遮るような唐突な出稿
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音量やトーンが番組内容と乖離している
これらの要因は、ポッドキャスト広告において「広告そのものの内容」ではなく、**“広告の挿入のされ方”**に起因するケースが多いのが特徴です。
3-2. 実証データ:「10分に1本」の広告はリスナー離脱を招かない
ロボットスタート社では、ひろゆき氏が出演する人気ポッドキャスト番組を対象に、広告の挿入頻度と再生数の相関を検証する実証実験を実施しました。
その結果:
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10分ごとに1本の広告を挿入しても、リスナーの離脱や再生数の減少は発生しなかった
-
広告内容が番組トーンと合致していれば、むしろ好感を持たれるケースも
このデータは、広告主にとって非常に有益です。なぜなら、**効果的なフリークエンシー設計(表示頻度)**を考えるうえで、ひとつの「受容ライン」を示しているからです。
3-3. 「不快」に感じさせずに「印象に残す」ために
リスナーに受け入れられる広告を設計するためには、以下のような工夫が有効です:
工夫 | 内容例 |
---|---|
番組トーンに合わせる | 落ち着いたトーク番組には静かなナレーションを、元気な番組にはテンポある語りを |
ナレーターやMCによる読上げ型 | 番組パーソナリティ本人が広告を読むことで、違和感を減らせる |
ストーリー仕立てにする | 商品説明に加え、リスナーが共感できる体験談やストーリーを盛り込む |
これらのアプローチは、「広告感」を抑えながらも印象に残る語り口を実現する方法です。とりわけ“パーソナリティによる語り”は、ポッドキャスト特有の親近感を活かした代表的な手法です。
3-4. 広告の「位置」も効果を左右する
また、音声広告においては「広告が挿入される位置(プレロール・ミッドロール・ポストロール)」もリスナーの受容度に関わってきます。
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プレロール:番組開始前の広告 → リスナーがまだ集中していない可能性あり
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ミッドロール:番組の途中に挿入 → 最も印象に残りやすいタイミング
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ポストロール:番組終了後 → 離脱率がやや高くなりがち
効果を最大化したい広告主にとっては、**“ミッドロールで自然に挿入される設計”**が最もおすすめです。
第4章:広がる可能性ー新しい活用事例と取り組み
― 実例から見る、ポッドキャスト広告の“今”と“これから”
ここまで、ポッドキャスト広告の効果要因や設計ポイント、リスナーに受け入れられる方法を見てきました。
では実際に、企業やブランドはどのように音声広告を活用しているのでしょうか? この章では、2025年2月時点で注目された活用事例や、広告市場の新たな動きについて紹介していきます。
4-1. 「想起」を目的としたブランド広告が増加傾向
ポッドキャスト広告への出稿理由として、多いのが、第一想起(Top of Mind)を狙うブランディング目的です。直近のポッドキャスト広告の出稿でみられたのが、デビューシングルの告知、酒類やパチスロ機器のプロモーション、百貨店や習い事(音楽教室など)の集客でした。
これらに共通するのは、「耳に残る演出」や「音楽との親和性」が高い商材であること。音声広告だからこそ、“ブランド印象”や“商品世界観”を強く訴求できるケースなのかなと思います。
4-2. 5秒未満の超短尺クリエイティブが登場
2025年2月から、5秒未満の音声クリエイティブの提供が正式スタート。これは「サウンドロゴ」や「キャッチワード」のみで構成される短尺広告で、下記のようなメリットがあります:
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再生単価が抑えられるため、少額予算で高頻度配信が可能
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「〇〇といえばこの音」と記憶されやすく、ブランド想起に効果的
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音だけで届けることで、視覚的なバナー広告との差別化ができる
Veritonic社の調査でも、サウンドロゴ使用時の想起率は最大7.5倍に跳ね上がると報告されており、短尺クリエイティブは“印象の強さ”という点で非常に優れた選択肢です。
4-3. 新年度は“プロモーションの再設計”が進むタイミング
多くの企業が予算再配分や広告方針の見直しを行う新年度(4月〜)は、プロモーションの再設計に最適なタイミングです。
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新商品・新サービスを広く知らせたい
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ブランドの“再認知”を狙いたい
-
限られた予算内で効果を最大化したい
こうしたニーズに対して、ポッドキャスト広告はクリエイティブの自由度・費用対効果・高精度ターゲティングという強みを持っており、今後さらに選ばれる媒体になっていくと考えられます。
新年度に向けた“音声マーケティング”の提案
新年度を迎える今、マーケティング戦略の見直しや広告施策の再設計を検討している企業も多いことでしょう。
これまでにご紹介してきたポッドキャスト広告は、その“再構築”の一手として、今まさに注目を集めています。
数字・効果・トレンド・受容性、すべての視点から振り返ると、音声広告には以下のようなビジネス的意義と活用価値があることが見えてきます。
今、音声広告を見直すべき理由
項目 | 内容 |
---|---|
効果の裏付け | クリエイティブがROIの約50%を左右/メッセージが少ない方が記憶に残る |
リスナーとの関係性 | ポッドキャストは“信頼されるメディア”として好意的に受け入れられている |
表現の自由度と工夫 | ストーリー仕立て・パーソナリティ読上げ・短尺ロゴなど、多彩な手法が選べる |
市場の成長性 | 国内外で広告主が増加/用途も広がり、今後さらにニーズは高まる見込み |
低予算から試せる | 数万円から出稿可能、特定ターゲットへのリーチ効率が高い |
《新年度、こんな企業におすすめ》
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限られた広告費で効果的なブランディングを行いたい
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若年層や決裁層と信頼関係を築くメディアを探している
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TV・紙・バナーに代わる新たなアプローチを取り入れたい
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音声×SNS、音声×Webサイト連携などO2Oの動線を設計したい
特に、新商品・サービスの立ち上げや、既存ブランドの再認知施策においては、音声による「第一想起」への効果が期待できます。
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ポッドキャスト広告は、まさに耳から心を動かす広告手法としてのポテンシャルを秘めています。
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