北海道ブランドの象徴「ロイズ」に学ぶ 地域資源を体験価値へ変えるエリアマーケティングの力
日本には、地域の個性や文化を背景に生まれた多くのブランドがあります。
それぞれの土地で育まれた素材、気候、歴史、そして人々の思いが形となり、全国・世界で親しまれる存在となっています。
本シリーズでは、47都道府県を代表する“地域ブランド”に焦点をあて、その誕生の背景や地域との関わり、消費者にどのように認知され、どんな価値を提供しているのかを紐解いていきます。
初回は、北海道を代表するチョコレートブランド「ロイズ(ROYCE’)」を取り上げます。
豊かな自然と誠実な文化に支えられたこのブランドが、どのようにして“北海道の味”として愛され続けているのかを見ていきましょう。
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- 北海道のブランド力はどこから生まれるのか
- データが示す、北海道ブランドの強さ
- エリアマーケティングで見るロイズの構造
- 観光から購買へ、“体験の再生”を促すブランド設計
- 他地域でも再現できる、ロイズ型エリアマーケティングの仕組み
- 共感設計と地域アイデンティティの融合
- evoliaが実践する、地域ブランドを育てるエリアマーケティング
- まとめ:ブランドがメディアになる時代へ
観光地としての人気だけでなく、「食」「自然」「誠実さ」といったポジティブな印象で長く愛されてきた北海道。
そのブランド価値を体現しているのが、札幌発のチョコレートブランド「ロイズ」です。
1983年の創業以来、北海道産の生クリームとヨーロッパ製法を融合させた「生チョコレート」は全国的な定番スイーツに。
創業者・山崎泰博氏の掲げた理念「世界に通じる品質を北海道から発信する」は、製品を通じて“北海道の誠実さ”を伝え続けています。
ブランドカラーであるロイヤルブルーは、澄んだ空と雪解け水を象徴。
デザイン思想の一貫性が、ブランド全体に「北海道そのもの」を感じさせます。
ロイズは単なる製菓企業ではなく、「北海道ブランドの発信体」として機能しているのです。
下図「ブランド認知×好感度マップ」では、ロイズは高認知・高好感度ゾーンに位置しています。
「白い恋人」や「六花亭」と並ぶ存在でありながら、“チョコレート専門”という領域で確固たる独自性を確立しています。

北海道という地域ブランドの「信頼」を担いながら、全国に“北海道らしさ”を届けています。

3つの市場を明確に分け、それぞれ異なる目的を設定しています。
贈答品・季節限定品・学校イベントなど、地域生活の中に深く根付いています。
新千歳空港ではブランド体験そのものを楽しむ空間が形成されています。
リアル体験をオンラインで再生する仕組みを構築しています。

エリアマーケティングの観点で見ると、ロイズの最大の強みは「観光体験の再現性」にあります。
旅行中に味わった“あの味”を、帰宅後に再び楽しめる──この「体験の再生」が、ブランドへの愛着を深く定着させています。
ロイズの商品は、単なるスイーツではなく、“北海道の記憶を呼び戻すスイッチ”のような存在です。
観光地で購入した生チョコを後日自宅で口にする瞬間、雪景色・空港の風景・旅の会話などが感情として蘇る。
この心理的な再体験が、購買行動を継続的に生み出しています。
さらに、2023年に開業した「ロイズカカオ&チョコレートタウン」は、リアル体験とデジタル拡散を結ぶ象徴的な施設です。
製造工程を見学しながらカカオの香りを感じられる展示や、体験型チョコづくり工房、限定スイーツカフェが併設され、“見る・作る・味わう”を一連のストーリーとして体験できます。
その場で撮影された写真がInstagramやX(旧Twitter)に投稿され、オンライン上で“体験が拡散される”という二次的波及も生まれています。
このようにロイズは、**リアルの体験がデジタルで再生される「体験循環型ブランド」**としての進化を遂げており、観光×購買×発信がシームレスに連動するモデルを構築しているのです。
以下では、全国の地域プロモーションに展開できるヒントを紹介します。
醸造体験やSNS投稿を組み合わせ、**「味覚体験×発信体験」**の循環を形成。
ロイズの体験設計と同様、リアル体験が自然にデジタル拡散を生む構造です。
結果、オンライン売上が前年比180%に拡大しました。
**商圏・人流データを活用した“広域化型マーケティング”**の好例といえます。
リアル(店舗・イベント)→ デジタル(SNS・LINE)→ リアル(再来訪)
という購買循環を作ることで、地域単位でのROIを最大化できます。
ロイズのブランド哲学の根底には、「共感を生む上質さ」という明確な思想があります。
非日常的な高級ではなく、“日常の中の小さな贅沢”を提供することで、誰にとっても手の届く幸福感を演出しています。
この「等身大の上質さ」が、北海道の誠実で実直なブランドイメージと深く結びついているのです。
特にロイズは、世代ごとに異なる“共感軸”を巧みに設計しています。
40代以上の層にとっては「信頼と安定の北海道ブランド」、20〜30代の層にとっては「SNSで話題の限定チョコ」や「旅行のおしゃれ土産」として浸透。
また、10代においては“もらって嬉しいギフトブランド”として親しみを持たれています。
加えて、ブランドデザインや店舗体験にも「共感設計」が息づいています。
シグネチャーカラーのロイヤルブルーは、北海道の澄んだ空と雪解け水を象徴。
店舗デザインには木目や白基調が多く用いられ、視覚的にも“誠実で清潔感のある北海道”を体現しています。
このようにロイズは、「地域の気候・文化・色彩・価値観」を丁寧に商品へ落とし込むことで、消費者一人ひとりの生活感情に寄り添う“共感ブランド”として成長しました。
つまり、ロイズは単なる製菓企業ではなく、北海道という地域アイデンティティを感性で伝えるメディアそのものなのです。
株式会社evoliaでは、こうした「ロイズ型」構造を再現し、商圏・人流・広告・SNSデータを統合して**地域ブランドの“体験経済化”**を支援しています。
新聞折込、屋外広告、Web広告、SNS分析に加え、商圏・人流分析ツール「Area Xposer」を活用し、地域の地理データ × 行動データ × メディア接触データを統合。
「どのエリアで、どのメディアを通じて、どんな体験を届けるべきか」
──その最適解を導くのが、evoliaのエリアマーケティングです。
- 商圏・人流・購買データによるターゲット可視化
- リアルとデジタルを融合したO2O戦略設計
- ブランド成長フェーズに応じたメディアプランニング
地域資源を「伝える」だけでなく、「感じてもらう」ブランド体験を設計する。
それが、evoliaの目指すエリアマーケティングです。
ロイズの事例が示すのは、ブランド自体がメディアになる時代の到来です。
地域の素材や物語を、体験と発信の両輪で届ける構造は、北海道のみならず全国の地域ビジネスに通じます。
「地域がブランドになり、ブランドが地域を語る。」
evoliaは、データとクリエイティブの力でその循環を支援します。
地域ブランドを次のステージへ──今こそ、エリアマーケティングの力を最大限に活かすときです。
ロイズのように、地域資源をブランド化し、リアルとデジタルを統合して発信するエリアマーケティングの成功事例は、今後の地域ビジネスに多くの示唆を与えてくれます。
自社のブランドをどう位置づけ、どのエリアでどんな接点を設計するか――それが、地域の価値を最大化する鍵となります。
貴社でも、エリアマーケティングを活用した販促・集客戦略の最適化や、地域ブランド発信の設計を検討されている場合は、ぜひご相談ください。
データに基づく分析から、効果的なプロモーション施策まで、貴社の地域戦略づくりをサポートいたします。
