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カウントダウンイベントに学ぶ 集客と販促を成功に導くマーケティングの考え方

いよいよ大晦日、街やSNSには「今年ももうすぐ終わる」という空気が漂っています。そんな中で毎年話題になるのが、年越しの瞬間を彩るカウントダウンイベントです。寒さや混雑を承知のうえで会場に足を運ぶ人もいれば、自宅で配信を見ながらその瞬間を迎える人もいます。参加の仕方は違っても、「年の終わりをどう迎えるか」を意識する人は少なくありません。

一見すると、こうしたカウントダウンイベントはエンターテインメントの世界の話であり、企業の集客や販促とは関係がないように思えるかもしれません。しかし、「なぜ人はわざわざ参加したいと思うのか」「なぜ毎年一定の注目と集客が生まれるのか」という視点で見ていくと、その背景には人の行動を動かすための共通した仕組みが見えてきます。

本記事では、カウントダウンイベントという分かりやすい題材を通して、人が動く理由を整理しながら、企業の集客や販促にどう応用できるのかを考えていきます。マーケティングの専門知識がない方でも読み進められるよう、基本的な考え方から順を追って解説していきます。

カウントダウンイベントに学ぶ集客と販促を成功に導くマーケティングの考え方(1)

目次
  1. なぜ人はカウントダウンイベントに引き付けられるのか
  2. カウントダウンイベントが設計している「価値」の正体
  3. 集客と販促を分けて考えるという視点
  4. 「誰が・どこから来て・どう動いたか」が見えると、施策は再現できる
  5. 企業の集客・販促にどう応用できるのか
  6. おわりに|集客や販促を「感覚」から「理由が説明できるもの」へ

 

 なぜ人はカウントダウンイベントに引き付けられるのか
 

――年末イベントが集客・販促のヒントになる理由

年末に行われるカウントダウンイベントは、毎年のように話題になり、多くの人を集めます。寒さや混雑、時間的な制約があるにもかかわらず、「今年も気になる」「できれば参加したい」と感じる人が一定数存在します。この現象は、単に出演者が豪華だから、エンタメとして楽しいから、という理由だけでは説明しきれません。

ここで注目したいのは、人がイベントに引き付けられる理由が、非常に整理された形で表れているという点です。カウントダウンイベントは、人の行動を後押しする要素が複数重なり合うことで成立しています。その構造をひも解いていくと、企業の集客や販促にもそのまま応用できる考え方が見えてきます。

1.「今しかない」という条件が、行動のきっかけをつくる

まず大きな要素として挙げられるのが、「時間が限られている」という点です。年越しの瞬間は毎年訪れますが、同じ年、同じ条件で迎えられる瞬間は二度とありません。この「今を逃すと次はない」という条件は、人に決断を促す強いきっかけになります。

企業の販促でも、「期間限定」「今月まで」「今年最後」といった表現が使われることは珍しくありません。カウントダウンイベントは、その最たる例とも言えます。年末というタイミングそのものが、自然に「区切り」や「締め」を意識させるため、行動への心理的なハードルが下がりやすくなります。

重要なのは、無理に煽っているわけではなく、時期そのものが意味を持っている点です。この構造は、企業がキャンペーンやイベントを設計する際にも大きなヒントになります。

2.「参加する理由」が自然に理解できる

カウントダウンイベントは、「なぜ参加するのか」が直感的に分かりやすい点も特徴です。年の変わり目という特別な瞬間を、非日常的な空間で迎える。その目的は多くの人にとって説明不要です。

企業の集客や販促がうまくいかないケースでは、「参加する理由」が分かりにくいことが少なくありません。内容は悪くないはずなのに、「それで、自分はなぜ今行くのか」が伝わっていない。この状態では、人はなかなか行動に移りません。

カウントダウンイベントは、「年末だから」「年が変わる瞬間だから」という、誰にとっても共通する理由を土台にしています。この分かりやすさが、多くの人を引き付ける要因の一つです。

3.「何を得られるか」より、「どう過ごすか」を提示している

もう一つ注目したいのは、カウントダウンイベントが強く訴求しているのが、「得られるもの」ではなく「過ごし方」である点です。グッズや特典といった要素が用意されることはあっても、それが主役になることは多くありません。

多くの場合、「どんな年越しを迎えられるか」「その瞬間をどう体験できるか」が中心に語られます。これは、人が行動を選ぶ際に、「結果」だけでなく「過程」や「時間の使い方」を重視する場面があることを示しています。

企業の販促でも、商品やサービスの機能説明に終始してしまうと、行動につながりにくくなります。一方で、「それを使うことで、どんな時間を過ごせるのか」「どんな状況が変わるのか」が伝わると、選択のイメージが具体化します。カウントダウンイベントは、その設計が非常に分かりやすい事例です。

4.「自分だけではない」と感じられる安心感

カウントダウンイベントは、多くの人が同じタイミングで同じ瞬間を迎えていることが可視化されやすいイベントです。会場に行かなくても、配信やSNSを通じて「他にも見ている人がいる」と分かります。

これは、必ずしも強い一体感を感じさせるためだけの仕掛けではありません。「自分だけが選んでいるわけではない」「他にも同じ行動を取っている人がいる」と分かること自体が、行動の後押しになります。この傾向は、購買行動や参加行動の研究でも一般的に指摘されています。

企業の集客・販促でも、事例紹介や利用者の声が使われるのは、この心理が働くからです。カウントダウンイベントは、この構造を自然な形で成立させています。

人が動く4つの要素

5.なぜカウントダウンイベントは販促のヒントになるのか

ここまで見てきた要素を整理すると、カウントダウンイベントは次のような特徴を持っています。

  • 行動を起こす理由が分かりやすい
  • タイミング自体に意味がある
  • 体験のイメージがしやすい
  • 他者の存在が行動を後押しする

これらはすべて、企業の集客や販促で成果を出すために欠かせない要素です。特別なエンターテインメントだから成立しているのではなく、人の行動特性に沿った設計になっているからこそ、人が集まると考えることができます。

この視点で見ると、カウントダウンイベントは単なる年末の風物詩ではなく、「人が動く理由」を観察するための非常に分かりやすい教材だと言えます。次章以降では、この構造をさらに掘り下げながら、企業の集客や販促にどう落とし込めるのかを具体的に見ていきます。

 

カウントダウンイベントが設計している「価値」の正体
 

カウントダウンイベントの価値は、出演者の豪華さや演出の派手さだけではありません。むしろ大きいのは、「その場に参加した」という事実そのものが持つ価値です。

「モノの価値」ではなく「体験の価値」を示す対比図

「あの年の年末は、あのイベントで迎えた」という記憶は、後から振り返ったときに強く残ります。これは、出来事が個人の時間軸の中に組み込まれ、「自分の経験」として意味づけられるからです。

また、多くの人が同じタイミングで同じ行動をしていると分かることは、行動への心理的なハードルを下げる効果があります。必ずしも強い一体感を意識していなくても、「自分だけではない」と感じられることが、参加を後押しします。こうした傾向は、社会心理学の分野でも一般的に指摘されています。

このように、カウントダウンイベントは「何を提供するか」以上に、「どんな意味を持つ体験として設計するか」を重視しています。この視点は、企業の集客や販促を考える際にも欠かせません。

 

集客と販促を分けて考えるという視点
 
マーケティングの現場で混同されやすいのが、「集客」と「販促」の違いです。カウントダウンイベントを例にすると、この二つの役割は比較的はっきり分かれています。
 

項目

集客の施策例 販促の施策例
具体的な内容 開催の告知、話題づくり、豪華な共演者の発表など チケットの販売方法の工夫、「今しかない」という限定要素の打ち出しなど
アプローチ 「こんなイベントがある」という認知と興味の獲得 「今、参加すべき理由」の提示と行動への誘導

集客とは、「存在を知ってもらい、興味を持ってもらうこと」です。開催告知や話題づくり、出演者の発表などは、すべて集客のための取り組みです。一方、販促とは「参加する理由を具体化し、行動につなげること」です。チケットの販売方法や限定要素の打ち出しなどがこれに当たります。

企業の施策では、この二つが同時に語られがちですが、本来は役割が異なります。カウントダウンイベントが安定した成果を出している背景には、「知ってもらう段階」と「行動を決めてもらう段階」が整理されている点があります。この順序を意識するだけでも、施策の精度は大きく変わります。 

 
 
 
 「誰が・どこから来て・どう動いたか」が見えると、施策は再現できる
 

イベントは感覚的なものに見えがちですが、実際には「人がどう動いたか」を振り返る視点が欠かせません。どの地域から人が集まったのか、どの時間帯に反応が多かったのか、どんな情報発信がきっかけになったのか。こうした要素を整理することで、次の施策に活かす材料が見えてきます。

人の動きを見る視点の整理図

たとえば、想定していた地域よりも遠方からの参加が多かったと分かれば、次回は告知エリアや媒体選定を見直すといった具体的な改善につなげることができます。

「誰が、どこから来て、どのように行動したのか」が分かるようになると、集客や販促は「当たるかどうか分からない挑戦」ではなく、「理由を考え、次に活かせる取り組み」へと変わります。仮に結果が思わしくなかったとしても、「なぜそうなったのか」を振り返ることができれば、次の改善につなげることができます。

カウントダウンイベントが毎年同じように開催されているように見えても、実際には来場者の動きや反応を踏まえた調整が積み重ねられていると考えられます。どの層に届いているのか、どの地域の反応が弱いのかといった傾向が把握できていれば、打ち手は自然と変わっていきます。

一方で、うまくいかない企業の集客施策には、「前年と同じことをしているが、なぜ結果が出たのか、あるいは出なかったのかを説明できない」という共通点が見られます。この違いが、施策を一過性で終わらせるか、積み重ねて改善できるものにするかの分かれ目になります。

 
 
 企業の集客・販促にどう応用できるのか
 

ここまで見てきた考え方は、特別なイベントだけに当てはまるものではありません。期間限定キャンペーン、展示会、セミナー、店舗施策など、企業のさまざまな集客・販促活動に応用できます。

重要なのは、「何を売るか」よりも、「なぜ今なのか」「誰にとって意味があるのか」を整理することです。

施策の再現性フロー図

たとえば、同じキャンペーンでも「どの層が反応したのか」「どの地域では反応が弱かったのか」が分かれば、次回は内容を変えるのか、伝え方を変えるのかといった判断がしやすくなります。そのうえで、人の動きを振り返り、改善点を見つけていくことで、施策は少しずつ再現性を持つようになります。

すべてを最初から完璧に設計する必要はありません。まずは「結果を理由とともに振り返れる状態」をつくることが、集客や販促を感覚頼りから脱却させる第一歩になります。

 
 
 
 おわりに|集客や販促を「感覚」から「理由が説明できるもの」へ
 感覚だよりからの脱却

カウントダウンイベントは非日常的で華やかな存在ですが、その裏側には人の行動を丁寧に捉え、次に活かそうとする視点があります。誰が、どこから来て、どう動いたのかを振り返ることで、施策は偶然ではなく、積み重ねの結果になっていきます。

企業の集客や販促においても、「なんとなく続けている施策」「理由を説明できない成功や失敗」が増えると、次の一手が見えにくくなります。成果を安定させるためには、行動の結果を整理し、改善につなげる仕組みが欠かせません。

evoliaでは、人の動きや地域特性の違いが見える情報を活用し、企業の集客・販促を「感覚」ではなく「理由が説明できる取り組み」へと変える支援を行っています。現状整理の段階からのご相談も可能ですので、「今の施策を見直したい」「次に何をすべきか考えたい」と感じた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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