店舗のSNS運用を担当されている方の中には、「Xのアルゴリズムが大きく変わったらしい」というニュースを見て、少し気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2026年5月、Xを運営する会社が、おすすめのしくみを動かしているプログラムの中身を、これまでより大幅に公開しました。「大改定」と報じられたのは、この出来事です。
参考:xai-org/x-algorithm(GitHub)
「今までの投稿のやり方は通用しなくなるのか」「フォロワーが少ないうちは何をやっても無駄なのか」「広告を出している場合も影響があるのか」——今回の話題を受けて、こうした疑問をお持ちの担当者様も多いと思います。
結論から言うと、今の投稿のやり方を根本から作り直す必要はありません。 しくみそのものが5月に突然入れ替わったわけではなく、これまで非公開だった中身が、外から確認できるようになったというのが実態です。そして公開された内容からは、これまで「良い」とされてきたことに、おおむね裏付けがあることが分かりました。
本記事では、おすすめの決まり方を整理しながら、今回わかったことを店舗アカウントの視点で読み解くとともに、明日からの投稿で意識したいポイントや、広告への影響までを、できるだけ専門用語を使わずに解説していきます。これからXを始めようとしている方に向けて、最初の1か月の進め方もあわせてご紹介します。
冒頭でお伝えしたとおり、今回は方針を大きく転換するタイミングではありません。まずは、何が起きたのかを正確に押さえておきましょう。
新しいしくみが動き始めたのは、実は2025年の秋ごろとされています。2026年5月に起きたのは、その中身が外部から確認できるようになったということです。
たとえるなら、レシピが変わったのではなく、これまで非公開だったレシピが公開された、という状況に近いといえます。
そして、公開された中身を読み解いた結果わかったのは、これまで「良い」とされてきたことに、おおむね裏付けがあったということでした。
つまり今回は、慌てて方針転換するタイミングではなく、これまでやってきたことを見直して、少し精度を上げるタイミングだとお考えください。
Xのタイムラインには「フォロー中」と「おすすめ」の2つがあります。多くの人が最初に目にするのが「おすすめ」です。
ここに自分の店の投稿が入るかどうかは、大きく3つのステップで決まります。
まず、その人に見せる可能性のある投稿が、大量に集められます。
このとき集められるのは、その人がフォローしているアカウントの投稿だけではありません。 フォローしていないアカウントの投稿も、同じように候補に入ります。
フォロー外の投稿が選ばれる基準は「その人に関係がありそうか」です。最近その人がどんな投稿に反応したか、どんな話題に関心があるか、どの地域にいるか。そうした情報から判断されます。
集まった候補それぞれに、「この人はこの投稿に反応しそうか」という予測が立てられ、点数がつきます。
ここでいう反応とは、いいねだけではありません。返信するか、写真をタップするか、プロフィールを見に行くか、動画を最後まで見るか——さまざまな行動が予測の対象になっています。この点は次の章で詳しく取り上げます。
最後に、実際の並び順が組み立てられます。単純な点数順ではありません。
同じ人の投稿ばかり続かないよう調整されたり、決まった位置に広告が入ったりします。そのため、点数が高い投稿でも、表示される位置は前後することがあります。
しくみが公開されたことで、はっきりしたことがあります。特に押さえていただきたいのが次の3点です。
これが一番の朗報だと思います。
ステップ①で説明したとおり、おすすめにはフォローされていないアカウントの投稿も候補に入ります。 選ばれる基準はフォロワー数ではなく、「その人に関係がありそうか」です。
フォロワーが100人でも、内容がその人に合っていれば、フォロワー1万人のアカウントの投稿と並んで表示される可能性があります。
始めたばかりのアカウントにとって、これは大きな意味を持ちます。「フォロワーが増えるまで何をやっても無駄」ではないのです。
評価されている行動は、いいね・返信・リポストだけではありません。公開された内容からは、次のような行動も予測の対象になっていることが読み取れます。
| 行動の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 見る・確かめる | 写真をタップして拡大する/投稿をタップして詳しく見る |
| 興味を持つ | プロフィールを見に行く/動画を一定時間以上見る |
| 立ち止まる | 投稿の前で少し手が止まる(滞在時間) |
| 広める | 引用してリポストする/他の人に共有する |
つまり、いいねがつかなかった投稿が「ダメな投稿」とは限りません。 写真をじっくり見てもらえた、プロフィールを見に来てもらえた。そうした反応も、ちゃんと届いています。
振り返りをするとき、いいねの数だけを見ていると、実際に起きていることの一部しか見えません。Xの「アナリティクス」画面では、プロフィールへのアクセス数や、投稿の詳細が表示された回数も確認できます。ここを見る習慣をつけてみてください。
これも重要な点です。ポジティブな行動だけでなく、ネガティブな行動も予測の対象に入っています。
最後の「ほとんど止まらずにスクロールされる」が入っている点に注目してください。
これが意味するのは、とにかく数を投稿すれば露出が増える、という考え方は必ずしも有利に働かないということです。読まれずに流されるだけの投稿を増やしても、プラスにはなりにくい。むしろ丁寧に1本を作るほうが、結果的に届きやすくなります。
ここからは実践編です。以上を踏まえて、明日から意識できることを5つに絞ってご紹介します。
おすすめには、フォローしていない人にも投稿が届きます。裏を返せば、初めて見る人に意味が伝わらない投稿は、広がりにくいということです。
避けたいのは次のようなパターンです。
投稿を出す前に、**「うちの店を知らない人がこれを見たら分かるか」**を一度確認してみてください。店名・エリア・何の話かが、その1投稿だけで伝わる状態が理想です。
写真をタップして拡大する行動も評価されている、とお伝えしました。逆に言えば、1枚目で興味を持たれなければ、その先には進みません。
商品なら、寄りで撮る。売場なら、何の売場か分かる角度で撮る。文字を入れるなら、小さい画面でも読める大きさで。スマホで見たときにどう見えるかを基準にしてください。
返信も引用リポストも、評価される行動です。ただ、告知だけを繰り返していると、返信が生まれる余地がありません。
店舗アカウントであれば、こんな問いかけが機能しやすい領域です。
生活者が答えやすい問いであることがポイントです。難しい質問や、答えに困る質問は逆効果になります。
そして、返信をもらったら必ず返す。これも会話として評価されます。
今まさに盛り上がっている話題に早く入れると、候補として拾われやすくなります。ただ、これを担当者の瞬発力に頼ると長続きしません。
現実的なのは二段構えです。
先に読める話題は、準備しておく。 季節の変わり目、歳時記、記念日、地域のお祭りやイベント。これらは販促カレンダーで先回りできます。売場の準備と同じタイミングで、投稿も仕込んでおきましょう。
突発的な話題は、判断基準を決めておく。 何にどこまで乗るか、社内で事前にすり合わせておけば、その場で迷わずに済みます。
しくみは、投稿1本だけでなく、アカウント全体の傾向も見ていると読み取れます。
単発でバズを狙うより、「このアカウントは〇〇のお店だ」と一貫して伝わる状態を積み上げるほうが、中長期では有利に働きます。
プロフィール文、固定表示している投稿、直近の投稿の並び。この3つを見たときに、何の店で、どこにあって、どんな情報が得られるアカウントなのかが伝わるか。ときどきご自身のプロフィール画面を、初めて訪れた人の目で眺めてみてください。
情報を集めていると、さまざまな「攻略法」に出会います。ここでは注意が必要なものを挙げておきます。
検索すると、行動ごとの点数が書かれた解説をよく見かけます。返信は何点、いいねは何点、といったものです。(※これらは2023年に公開された古いしくみの数値で、現在のものとは異なります。)
今のしくみは、そうした固定の点数表を持たない方式に変わっており、行動ごとの重み付けの具体的な数値は公開されていません。 点数表を前提に投稿を設計しても、根拠のない努力になってしまいます。
同じように、「アカウントのスコアが〇〇以上でないと表示されない」「投稿のトーンが判定されている」といった解説も見かけますが、これらは第三者が推測したもので、公式に確認されているわけではありません。
社内で共有したり、上長に説明したりする際は、「公式に確認できること」と「誰かの推測」を分けて扱うことをおすすめします。
数を付ければ届く、というものではありません。内容と関係のないタグを並べると、見た目にも読みにくくなります。関連するものを絞って使う程度で十分です。
なお、X広告ではハッシュタグを含む投稿の配信が制限されています。 オーガニックの投稿をそのまま広告に転用する予定がある場合は、注意が必要です。
フォロワー数そのものは、おすすめに入るかどうかの決め手ではありません。関心の合わないフォロワーが増えても、反応にはつながりにくく、かえって指標が悪化することもあります。
広告を出稿されている、あるいは検討されている方向けに、要点をお伝えします。
通常の投稿と広告は、別のしくみで選ばれています。 公開された内容から読み取れるのは、広告は投稿と点数で競い合うのではなく、タイムラインを組み立てる途中で、決められた位置に差し込まれる設計だということです。
したがって、「オーガニック投稿が伸びないから、広告も届かない」といった連動は起きにくいと考えられます。アカウント運用と広告は、切り分けてお考えいただいて問題ありません。
ただし、別の理由で確認が必要です。2026年3月、X広告の管理画面が全面的に刷新され、設定できるターゲティングの種類も大きく変わりました。 すでに出稿されている場合は、キャンペーンが意図どおり動いているか、一度ご確認いただくことをおすすめします。
ここまで読んで「まだ始めてもいないのに情報量が多い」と感じられた方へ。最初の1か月は、次の順番で十分です。
1週目:プロフィールを整える 店名、エリア、何を発信するアカウントかを明記します。ここが曖昧だと、投稿が届いても次につながりません。
2〜4週目:週2〜3回のペースで投稿を続ける 毎日投稿しようとすると続きません。まずは「無理なく続く頻度」を見つけることが目的です。内容は、商品・売場・スタッフの一言など、店にあるものからで構いません。
1か月後:反応の種類を見る アナリティクスで、いいねだけでなくプロフィールへのアクセス数も確認します。どんな投稿のときに人が見に来たのか。ここに、そのお店なりの傾向が出ます。
2か月目以降:自分の型を決める 反応が良かった投稿の共通点を、投稿の「型」として固めていきます。ここまで来れば、本記事の第4章でご紹介したコツ①〜⑤が活きてきます。
Q. 毎日投稿したほうがいいですか? A. 必ずしもそうではありません。読み飛ばされることがマイナスに働く以上、内容が伴わない投稿を増やすのは得策ではありません。続けられる頻度で、1本ずつ丁寧に作るほうが結果につながります。
Q. フォロワーは何人くらいから意味がありますか? A. フォロワー数は、おすすめに表示されるかどうかの決め手ではありません。少ない段階でも、内容が合っていれば届きます。人数を目標にするより、反応の種類を見ることをおすすめします。
Q. ハッシュタグは付けるべきですか? A. 関連するものを絞って使う程度で十分です。大量に付けても効果は上がりません。広告への転用を考えている場合は、制限があるためご注意ください。
Q. 反応がなかった投稿は消したほうがいいですか? A. 消す必要はありません。いいねがつかなくても、写真を見てもらえた、プロフィールを見に来てもらえた、といった反応が起きている可能性があります。まずはアナリティクスでご確認ください。
Q. アルゴリズムはまた変わりますか? A. 更新は継続的に行われています。ただ、今回わかったのは「反応の質」「会話」「アカウントの一貫性」といった基本が重要だということでした。この土台は、細かな変更で揺らぐものではありません。
今回のアルゴリズム改定は、「しくみが突然変わった」のではなく、「しくみが確認できるようになった」出来事でした。押さえておきたいのは、フォロワーが少なくても届くこと、いいね以外も見られていること、読み飛ばしはマイナスになること。この3点です。
そのうえで、ご自身の状況に合わせて、以下を参考に進め方を検討してみてください。
ケース①:すでに運用していて、投稿が習慣になっている ⇒ 投稿のやり方を変える必要はありません。まずは振り返りの指標を広げましょう。いいね数だけでなく、プロフィールへのアクセス数や写真のタップ数を月次で見るようにするだけで、次の打ち手が見えてきます。
ケース②:運用しているが、反応が伸び悩んでいる ⇒ 投稿本数を増やす前に、1本ずつの内容を見直すことをおすすめします。特に「初めて見る人に伝わるか」(コツ①)と「返信が生まれる余地があるか」(コツ③)の2点から点検してみてください。
ケース③:これから始める、または再開する ⇒ まずはプロフィールを整え、週2〜3回のペースで1か月続けることを目標にしてください。フォロワー数を追いかける必要はありません。第7章の進め方をご参照ください。
「SNSを始めたものの、何を投稿すればよいか分からない。」
「投稿を続ける体制が社内でつくれない。」
「SNSと広告を、どう使い分ければよいのか相談したい。」
そうしたご相談をいただくことがあります。
私たちevoliaでは、SNS運用の方法だけをご提案することはありません。
まずは店舗の商圏特性や競合環境、生活者の行動を整理し、「どのようなお客様に、どのような接点をつくるべきか」という視点から設計しています。
同じ業種でも、立地や商圏、客層が変われば、響く発信の内容は変わります。だからこそ、手法ありきではなく、店舗集客全体を見据えた設計が重要です。
アルゴリズムの変化をきっかけに自社のSNS運用を見直したい方や、「店舗集客をもっと強化したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
投稿の設計だけではなく、商圏分析や生活者理解を踏まえた店舗集客全体の考え方も含めて、ご提案いたします。
重要なのは、「SNSをやること」ではなく、“どの媒体で何を伝えるのか”を整理することです。
店舗販促では、Google検索、GBP、LINE、Instagram、TikTokなども含め、媒体ごとの役割設計がますます重要になっています。
※本記事は2026年7月時点で公開されている情報に基づいています。Xの仕様は継続的に更新されるため、最新の情報もあわせてご確認ください。
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