スーパー・ドラッグストア・飲食店必見!リアル店舗の集客を変える!P-MAXとデマンドジェネレーションの最新活用戦略
日常の買い物や外食の場面で、消費者は数え切れないほどの情報に触れています。チラシやテレビCM、SNSの投稿、そしてスマートフォンに表示される動画広告やバナー――それぞれが生活の意思決定に影響を与えています。こうした状況下で、小売業や飲食業が効率よく顧客にリーチし、来店や購入につなげるためには、単に広告を配信するだけでは不十分です。「どの段階の顧客に」「どんなメッセージを」「どのチャネルで」届けるかを考え抜く必要があります。
Google広告の中でも、P-MAXキャンペーンとデマンドジェネレーション(Demand Gen)キャンペーンは、それぞれ異なる役割を担いながら購買行動を後押しする強力なツールです。本記事では、両者の違いと棲み分けを整理したうえで、特に店舗ビジネスにおける実践的な活用方法を解説します。
- P-MAXキャンペーンとは
- デマンドジェネレーション(Demand Gen)とは
- P-MAXとDemand Genの比較
- 棲み分けの考え方(ファネルでつなぐ)
- 店舗での実践(スーパー/ドラッグストア/飲食チェーン)
- クリエイティブ設計のコツと計測・データ活用
- まとめ
1.P-MAXキャンペーンとは
P-MAXは「Performance Max」の略で、Googleの全ての広告在庫に横断的に配信できるキャンペーンです。検索広告やショッピング広告、YouTube、ディスプレイネットワーク、Discover、Gmail、さらにはGoogleマップなども含め、あらゆるチャネルで広告を展開でき、これら複数の面を一括して最適化します。従来は別々に運用する必要があった配信先も、P-MAXならワンストップでAIによる自動最適化が可能となりました。広告主はあらかじめコンバージョン目標を設定し、Googleの最先端AIが配信面や入札戦略、クリエイティブの組み合わせをリアルタイムで分析し、自動で最適な形に調整してくれます。これにより、さまざまな広告チャネル間で情報が分断されることなく、全体最適の視点で効率的な広告運用ができるようになります。
つまり、P-MAXの本質は「刈り取り」であり、購買意欲が高く、すぐにアクションを起こしやすい顕在層のユーザーに対して、効率的にコンバージョン数を最大化できる仕組みです。また、広告運用における細かな設定や分析はGoogleのAIに任せる部分が大きくなるため、従来よりも運用担当者の手間や人的工数を大幅に削減できます。ただし、その分、事前のコンバージョン目標やターゲット設定、各チャネルに合わせたクリエイティブ設計など、最初の戦略設計や素材準備がキャンペーン成功の重要なポイントとなります。P-MAXを最大限に活用するには、AIが十分に性能を発揮できるよう、明確なゴールと高品質なクリエイティブ素材を用意することが成功への近道です。
2.デマンドジェネレーション(Demand Gen)とは
一方、Demand Gen は「潜在層」に向けてブランドや商品を知ってもらい、興味を持ってもらうことを目的としたキャンペーンです。配信面はYouTube、Discover、Gmailが中心でしたが、2025年3月のアップデートでGDN(Googleディスプレイネットワーク)にも配信できるようになり、リーチの幅が大きく広がりました。
特筆すべきは、チャネルコントロール機能により配信先を選択できるようになったことです。たとえば「まずはYouTubeで動画を見せ、効果を確認してからGDNに広げる」といった段階的な活用が可能になりました。
Demand Genの特徴は、何よりも視覚的なクリエイティブ訴求力。短尺動画やカルーセル形式の画像を駆使し、ブランドストーリーや商品の魅力を感覚的に伝えることで、購買検討前のユーザーに「気づき」と「興味」を与えるのに適しています。
検索広告やディスプレイ広告よりも「視覚的」「娯楽性が高い」、Youtube広告(動画を通じて感情に訴求)、Discover広告(スマホでエンタメ感覚に近い情報発見体験)などです。
イメージ例
1.Youtube動画広告 新しいスニーカーのCM動画を流し、まだ買う気がなかった人に「かっこいいな、欲しい」と思わせる。
2.Google Discover 広告 ニュース記事の間に「秋の旅行にぴったりな温泉宿」の広告が差し込まれ、休暇の計画を考え始めるきっかけになる。
検索 | P-MAX | Demand Gen | |
用途 | Google 検索で成果を最大化する | Google のあらゆるチャネルや媒体でパフォーマンスを高める | Google の視覚的でエンターテインメント性の高い面を活用し、需要を創出してビジネス成果につなげる |
入札単価 |
・目標別インプレッションシェア |
・コンバージョン |
・クリック数 |
オーディエンス | 検索ユーザーに向けて、自社の保有データと Google が持つシグナル(検索履歴や行動データなど)を組み合わせることで、さまざまなマーケティング目標を達成できます。 | 「新規顧客の獲得」や「顧客価値に応じた配分」などの目標を設定し、さらにオーディエンスシグナルを活用して AI に学習の方向性を示します。 ※ただし、ターゲティングを細かく絞り込むのではなく、AI が幅広いユーザーにアプローチする設計です。 |
類似オーディエンスなど、自社で設定した独自のオーディエンスセグメントをターゲットにできるため、ターゲット層を柔軟にカスタマイズできます。 |
チャネル | Google 検索と検索パートナーサイト(AFS)に広告を表示し、検索中のユーザーにリーチします。 | Google が提供するあらゆるチャネル・広告枠に配信され、最適な成果を目指します。 (検索、YouTube ショートを含む YouTube 全体、Discover、Gmail、Google ディスプレイ ネットワーク) |
広告を表示するチャネルを選んで配信でき、戦略やクリエイティブに合わせた広告体験を設計できます。 例:縦型の動画クリエイティブがある場合は YouTube ショートのみに絞り、モバイル向けに最適化することも可能です。 (YouTube ショート、YouTube インフィード、YouTube ホームフィード、YouTube「次のおすすめ」、YouTube 検索、Discover、Gmail、Google ディスプレイ ネットワーク) |
他のプロダクトとの差別化要因 |
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引用:Google広告ヘルプ デマンド ジェネレーション キャンペーンを使用する状況を把握する
3.P-MAXとDemand Genの比較
最近では「P-MAXとDemand Genのどちらを選べばいいのか?」という疑問がよく聞かれます。両者はAIを活用した自動最適化キャンペーンという点では共通していますが、役割やアプローチの仕方は大きく異なります。違いを整理せずに使ってしまうと、想定した成果につながらず、無駄なコストが発生するリスクもあります。
そこで以下の表では、両者の特徴を「配信面」「目的」「対象ユーザー」「クリエイティブ」「コントロール性」という観点から整理しました。まずは機能的な違いを俯瞰して押さえ、その後に具体的な解説で“どのように棲み分けるべきか”を確認していきましょう。
項目 | P-MAX | Demand Gen |
---|---|---|
配信面 | Google全在庫(検索・ショッピング・YouTube・GDN・Gmail・Maps等) | YouTube・Discover・Gmailを中核に、チャネルコントロールで GDN のON/OFFも選べる。視覚訴求で潜在層の関心を喚起。 |
目的 | 売上・獲得の最大化、CPA/ROAS 改善 | 認知拡大、興味喚起、比較前段階での“気づき”づくり |
想定ターゲット | 顕在層(購入直前のユーザー) | 潜在層(比較検討前のユーザー) |
クリエイティブ | AIが自動で最適化し組み合わせを判断 | 動画・静止画・カルーセルなど視覚訴求に特化 |
コントロール性 | 自動化が強く、広告主の裁量は限定的 | 配信先チャネルを選択可能で柔軟性あり |
P-MAXは、購買や申込みを強く意識している顕在層を対象に「最後の一押し」をすることに長けています。検索やショッピング広告を含め、Googleの全在庫に横断配信できるため、すでに行動に移りかけているユーザーを効率的に刈り取ることが可能です。
一方、Demand Genは購買検討前の潜在層に対して「気づき」を与えるのが役割です。動画や画像といったリッチなフォーマットを用いて、ブランドや商品の魅力を感覚的に伝えられる点に強みがあります。特に2025年からはGDN配信も可能になり、幅広いユーザーへ接点を持つことができるようになりました。
つまり、Demand GenとP-MAXは競合するものではなく、ファネルの上下流を補完し合う関係です。
Demand Genは「知ってもらう・気づいてもらう」段階を担当し、P-MAXは「検討から購買に至る」刈り取りを担います。
実際の活用シナリオとしては、まずDemand Genで潜在層へアプローチし、その反応をもとにオーディエンスを構築。その後、P-MAXに渡して刈り取りを行う流れが有効です。特に同じコンバージョン目標を両キャンペーンで設定しておくと、GoogleのAI学習が連動しやすくなり、成果に直結しやすくなります。
4.棲み分けの考え方(ファネルでつなぐ)

棲み分けの肝は、“段階”をデザインすることです。まず Demand Gen で「見てもらう・気に留めてもらう」接点をつくり、その後に P-MAX で「行動してもらう」まで滑らかにつなぐのが王道です。とくにチャネルコントロールにより Demand Gen の配信面を選べるようになったため、初期は YouTube/Discover/Gmail で品質を整え、勝ち筋が見えたら GDN を段階的にONにしてリーチを拡張――という二段構えが有効です。
成果の指標は、Demand Gen ではインプレッションや視聴、クリック、滞在などの中間指標を重視し、P-MAX ではコンバージョン数・CPA・ROAS といった最終指標に寄せます。両者を同一のコンバージョン目標で学習させると、Google内のデータドリブンな評価が横断で効きやすく、シナジーが出やすくなります(配信設計上の推奨)
5.店舗での実践(スーパー/ドラッグストア/飲食チェーン)
6-1. スーパーマーケット
目的は、来店頻度の底上げと“買い回り”の促進。
まず Demand Gen で、季節催事や目玉カテゴリ(青果・精肉・惣菜など)を動画・カルーセルで魅せ、“今週の食卓のイメージ”を想起させます。立ち上がりは YouTube/Discover/Gmail で素材の勝ち筋を検証し、一定の反応が見えたら GDN をONにして、まだリーチできていない生活者へ表示面を広げていきます。そこから、動画視聴者やLP訪問者をオーディエンス化して、P-MAX に受け渡す構成へ。P-MAX 側ではアプリ会員やチラシ閲覧ユーザー、近隣在住者などのシグナルを手がかりに、クーポン提示や来店の最適化を進めます。来店計測を導入できるアカウントであれば、来店コンバージョンで店舗送客の貢献を掴み、販促週ごとのPOS実績と照合しながら週次で運用調整するのが定石です。
6-2. ドラッグストア
ねらいは、新製品導入の初速とPBの定着。
Demand Gen では、新製品の“使い心地”や“実感”が2〜3秒で伝わるショート動画を中心に構成し、悩み別(花粉、乾燥、肩こり、睡眠など)の課題解決ストーリーで訴求します。表示先は当初 YouTube/Discover/Gmail に絞り、過度な到達コストが見えないことを確かめてから GDN を段階追加。比較・検討段階に入ったユーザーには、カルーセルで成分・効能・価格帯を端的に示し、サンプル配布やお試しクーポンの提示で“店頭で手に取りやすい理由”を用意します。その後は P-MAX でクーポン利用→来店の最適化に重心を置き、可能であれば GCLID/GBRAID を用いたオフラインCVインポートで会員IDやSKUと紐づけ、カテゴリ別ROASや初期LTVまで把握・最適化の射程に入れます。
6-3. 飲食チェーン(QSR/ファミレス等)
目的は、新メニューの想起と時間帯別の送客。
最初の接点づくりは Demand Gen の縦型ショート動画が有効です。湯気や断面、価格訴求など“おいしさが瞬時に伝わる”画作りで、2秒以内のフックを意識します。Discover では“今だけ・この近く”といった近接性の文脈を明示し、GDN ではランチ/ハッピーアワー/深夜といった時間帯別クリエイティブでニーズに寄せます。再接触段階では、視聴者やLP訪問者に近隣店舗×時間帯限定クーポンを提示し、P-MAX に受け渡して予約・クーポン提示→来店までの動線を最適化。住所アセットや来店計測を併用できれば、店舗別・時間帯別の貢献が見え、好調店舗のクリエイティブを他店に横展開する意思決定がしやすくなります。
6.クリエイティブ設計のコツと計測・データ活用
Demand Gen は“視覚体験で心を動かす”ことが命です。動画は冒頭2〜3秒で、ベネフィットや価格、限定性が直感的に伝わる絵づくりを。静止画・カルーセルは、比較(セット・価格帯・容量・使い方)を端的に示し、スクロールを止める訴求を意識します。YouTube、Discover、Gmail、Shorts、Google Video Partners など複数サーフェスにまたがる前提で、フォーマット要件に沿ったアセットを十分数用意してテストしましょう。
店舗ビジネスでオンライン広告の寄与を正しく捉えるには、来店コンバージョンの仕組み化が近道です。要件が満たせる業種・規模であれば、Google広告上で店舗来訪の推定値を確認でき、オムニチャネルの最適化に役立ちます。さらに、GCLID(または GBRAID)を用いたオフラインコンバージョンのインポートを組み合わせれば、広告接触 → 店舗来店 → 会計(売上)までの一気通貫評価が可能になり、媒体の学習にも好影響を与えます。
7.まとめ
P-MAXは「成果最大化の自動運用」、Demand Genは「潜在層への認知・興味喚起」という異なる役割を担っています。2025年からはDemand GenにGDNが加わり、リーチの幅と柔軟性が増しました。特に店舗ビジネスでは、Demand Genで「知ってもらい」、P-MAXで「行動させる」という二段構えが効果的です。
さらに、紙媒体や店頭販促と連動させることで「紙で認知 → Webで検索 → 来店」という流れを後押しできます。
店舗集客やGoogle広告活用に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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