店舗集客やブランド認知のためにGoogle広告を活用されている企業様の中には、「Googleディスプレイ広告キャンペーンがDemand Genへ移行する」というニュースを見て、少し気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Googleは2026年6月から、従来のGoogleディスプレイ広告キャンペーンをDemand Genへ段階的に移行・統合していくと発表しています。
参考: Google Display Ads campaigns have a new home in Demand Gen(Google 広告 ヘルプ)
「今まで効果が出ていたバナー広告はどうなるのか」「広告代理店に何を確認すればいいのか」「予算やクリエイティブを作り直す必要があるのか」——今回の発表を受けて、こうした疑問をお持ちの企業様も多いと思います。
結論から言うと、GDN(Googleディスプレイネットワーク)という配信面自体がなくなるわけではありません。今回の変更は、これまで慣れ親しんだディスプレイ広告の「管理の仕組み」が、より高度なAIを搭載したDemand Genへ統合されるという話です。皆様の店舗やサービスの認知拡大・集客という目的はこれまでと変わりません。変わるのは、その目的を実現するための広告設計や活用方法です。
本記事では、Demand Genの進化の流れを整理しながら、今回の統合で何が変わるのかをGoogle公式情報をもとに整理するとともに、移行前に確認しておきたいポイントや、店舗集客でどのように活用していくべきかまで、わかりやすく解説します。
Demand Gen(デマンドジェネレーション)は、Googleが2023年10月に正式提供を開始した「需要創出型」キャンペーンです。
検索広告が、すでに商品やサービスを探している顕在層へ広告を届けるのに対し、Demand Genはまだ検索していない潜在ユーザーとの接点づくり(興味喚起)を目的としています。
例えば、
といった用途に非常に向いています。
Demand Genは登場以来、今回のディスプレイ広告キャンペーンの統合を見据え、段階的に機能が拡張されてきました。これまでの大きな流れを整理してみましょう。
| 時期 | 主なアップデート内容 |
|---|---|
| 2023年10月 | Demand Gen(デマンドジェネレーション)正式提供開始 |
| 2025年3月 | GDN配信への対応・「チャネルコントロール」機能の追加 |
| 2025年4月 | 画像広告(バナー)のGDN配信対応がさらに拡大 |
| 2026年6月〜 | Googleディスプレイ広告キャンペーンの移行(移行ツールの提供)が開始 |
| 2027年中(予定) | 対象キャンペーンの自動移行が完了 |
この流れを見ると分かるように、2025年の時点でDemand GenはすでにGDNの配信枠を取り込んでいます。そのため、今回の統合は「GDNが消滅する」のではなく、「2026年、ディスプレイ広告の新しい管理画面がDemand Genに一本化される」という流れで理解する方が適切です。
今回の変更で最も誤解されやすいのが、「GDNがなくなる」「ディスプレイ広告が終了する」という認識です。しかしGoogle公式の情報を見ると、GDNの配信面そのものは継続されます。
変わるのは、キャンペーン管理の考え方とAIによる最適化の仕組みです。
これまでのGoogle広告では、「検索」「ディスプレイ(GDN)」「YouTube」といった形で、メニュー(配信面)ごとに別々のキャンペーンを立てて管理するケースが一般的でした。
しかしDemand Genへの移行後は、YouTube(Shorts・インストリーム)、Discover、Gmail、そしてGDNを1つのキャンペーンの中で組み合わせながら、認知から興味喚起までをシームレスに設計できるようになります。
広告主様にとって特に気になるのが「いつまでに対応すればよいか」というスケジュール感かと思います。Google公式発表によると、以下のようなステップで進む予定です。
移行ツールを使うと過去42日分のパフォーマンス履歴が引き継がれるため、学習期間が約1〜2日で済むとされています。一方、手動で新しいキャンペーンを作り直す場合は学習がゼロからになるため、Googleは移行ツールの利用を推奨しています。運用を代理店に委託されている場合も、この時期感を共有いただき、余裕を持った移行スケジュールをご相談いただくのが安心です。
多くの企業様が気になるのは、「今まで実施していたGDNキャンペーンはどうなるのか」という点ではないでしょうか。
結論から言えば、基本的な考え方やアセットはそのまま継続して利用できます。
これらはDemand Genに移行した後も引き続き利用可能です。
ただし、運用のコントロール権には一部変化が生まれます。従来のディスプレイ広告では、配信面や入札を細かく調整しながら運用するケースも少なくありませんでした。一方、Demand GenではGoogleのAIによる自動最適化が前提となり、「どこに配信するか」よりも、「誰に、どのようなクリエイティブで届けるか」という設計がより重要になっています。
移行後のDemand Genでは、こうした手動コントロールの一部が自動化され、「誰に広告を届けるか(オーディエンス)」「どのようなクリエイティブで興味を喚起するか」というユーザー中心・アセット中心の設計がより重視されるようになります。
Googleディスプレイ広告キャンペーンからDemand Genへの移行を考えるうえで、主な機能の対応状況を整理しておきましょう。
| 項目 | 従来のGDN | Demand Gen(移行後) |
| GDN配信 | 利用可能 | 利用可能 |
| 画像広告(バナー) | 利用可能 | 利用可能 |
| リマーケティング | 利用可能 | 利用可能(※AI拡張のシグナルとして活用) |
| カスタムオーディエンス | 利用可能 | 利用可能 |
| YouTube / Discover / Gmail配信 | 別キャンペーンで実施 | 同一キャンペーン内で網羅可能 |
| チャネル選択(配信面の絞り込み) | 限定的 | 「チャネルコントロール」で選択可能 |
| 入札戦略 |
手動入札など複数の選択肢 |
自動入札(クリック数の最大化・コンバージョンの最大化・目標CPA・目標ROAS)が中心 |
| フリークエンシーキャップの手動設定 | 利用可能 | 廃止(AIによる自動最適化へ) |
| HTML5フォーマット(GDN枠) | 利用可能 | Google公式情報(2026年7月確認時点)では一部未対応(今後対応予定) |
特にHTML5形式のバナーを主力にしている場合は、現時点でDemand GenのGDN枠がまだ完全対応していないため、移行前に代理店や管理画面上で対応状況を確認しておくと安心です。
広告主にとって最大の変化は、GDN以外の強力なビジュアル面(YouTube ShortsやDiscoverなど)も含めたクロスチャネルな設計が、1つのキャンペーンで非常にやりやすくなる点にあります。
ここは非常に重要なポイントですが、今回の移行によって「今後はYouTube広告や動画広告を必ず使わなければならない」というわけではありません。
Googleは、Demand Gen内に「チャネルコントロール(Channel controls)」機能を導入しています。広告の設定画面(広告グループ単位)で配信先を自分で選択できるようになっており、YouTubeやDiscover、Gmailのチェックを外し、「Googleディスプレイネットワーク(GDN)のみ」に絞って配信を制限することを公式にサポートしています。
そのため、
という企業であれば、無理に運用方針を大きく変える必要はありません。まずは、使い慣れた「GDN中心の運用」をDemand Genの中で継続しながら、将来的な選択肢を広げていくという進め方が可能です。
では、従来のGDN利用者にとって、管理基盤がDemand Genになるメリットは何でしょうか。最大のポイントは、潜在層アプローチ(需要創出)の精度と幅が圧倒的に広がることです。
Google公式データによると、Demand GenにGDN配信を追加した広告主は平均でROIが9.5%向上したと報告されています。フードデリバリーのGoFoodの事例では、GDN在庫をDemand Genに追加した4週間のA/Bテストで、CPAが24%低下し、コンバージョンが19%向上したという結果も公表されています。
自社の既存顧客リストやWebサイトの訪問者リストをベース(シード)にして、その行動特性に酷似した購買意欲の高い新規ユーザーをGoogleのAIが自動生成してくれます。従来のGDNよりも、はるかに確度の高い新規開拓が可能になります。
これまでのバナー広告に加え、横スワイプで複数の商品を見せる「カルーセル広告」や、動画アセットを組み合わせたリッチな表現が可能です。また、管理画面内でクリエイティブの厳密な「A/Bテスト(実験)機能」が標準提供されているため、どの訴求がユーザーを動かしたのかを科学的に検証できます。
どちらもGoogleのAIをフル活用したマルチチャネルなキャンペーンであるため混同されがちですが、その役割(目的)は明確に異なります。
例えば店舗集客のマーケティングファネルで考えると、以下のような役割分担を設計できます。
【認知・需要創出】 Demand Gen(店舗やサービスの魅力を知ってもらう)
↓
【顕在層の刈り取り】 検索広告(地名やキーワードで探している人へ届ける)
↓
【最終成果の最大化】 P-MAX(来店予約や問い合わせ獲得を最大化する)
Demand Genは、商圏が限られている店舗集客やエリアマーケティングにおいて、非常に高いポテンシャルを発揮します。
どれだけ魅力的な店舗を作っても、存在地域の人に知られていなければ来店は期待できません。「今すぐ探している人」にしか出ない検索広告とは異なり、Demand Genであれば指定した商圏内の住民へ、オープン告知やキャンペーンの魅力をバナーや動画で一気に広げることができます。
保護者が塾を探し始める前段階の「受験への不安」や「学習の課題」がある時期に、教育方針、講師の雰囲気、合格実績などを視覚的にアプローチできます。ここで「認知・興味」を作っておくことで、のちの検索行動や説明会への申し込み(検索広告やP-MAXでの刈り取り)へと繋がります。
突然「住宅展示場」と検索する人は多くありません。まずは施工事例や間取りの比較、モデルハウスの紹介をビジュアルで刷り込んでおき、将来的な来場候補としての接点を中長期的に作っていく施策に最適です。
Demand Genは非常に優れた広告メニューですが、ただ予算を設定して配信するだけでは成果につながりません。AIによる自動最適化が強力になった分、「どのオーディエンスに、どんなメッセージを届けるか」という土台の設計が、これまで以上に成果を左右するようになっています。
特に店舗集客やローカルビジネスにおいては、「どの商圏(エリア)の、どんなターゲットに、何を伝えるか」という地域特性の理解が不可欠です。同じドラッグストアや学習塾であっても、子育て世帯が多いエリアと高齢者が多いエリアでは、響くメッセージやクリエイティブ(バナーの訴求)は180度変わります。例えば、子育て世帯が多い商圏であれば「時短」「まとめ買いのお得感」を訴求するクリエイティブが響きやすく、高齢者が多い商圏であれば「近さ」「馴染みのある安心感」を前面に出す方が効果的、というように訴求軸そのものが変わってきます。
こうした地域特性は、人口統計データだけでは見えてこないことも少なくありません。実際の来店者の居住エリアや移動経路といった人流データ、周辺の競合店舗の分布状況、商圏内の世帯構成や年齢層のボリュームゾーンなどを掛け合わせて初めて、「その店舗にとって本当に刈り取るべきターゲット」が見えてきます。Demand Genの類似セグメントやオーディエンス設計も、こうした商圏の実態を踏まえたシード(元となる顧客リスト)を用意できているかどうかで、精度が大きく変わります。
さらに、Demand Genの配信設定においても、地域ターゲティングの精度(商圏を絞りすぎず、かといって広げすぎない設定)や、店舗ごとに異なる商圏特性に合わせたクリエイティブの出し分けなど、運用面での細かな調整が必要になります。最先端の広告メニュー(Demand Gen)のパワーを100%引き出すためには、地域の実態に即した「商圏分析(エリアマーケティング)」との掛け合わせが極めて重要になります。
Q. 今すぐ対応しないとディスプレイ広告が止まってしまいますか?
A. いいえ、すぐに配信が止まることはありません。既存のディスプレイ広告キャンペーンは、移行が完了するまで引き続きアクセス・編集が可能です。ただし、対応を先延ばしにすると新規キャンペーンの作成に制限がかかる時期が来るため、早めの準備をおすすめします。
Q. 動画クリエイティブがなくても運用を続けられますか?
A. はい、可能です。チャネルコントロール機能で配信先を「GDNのみ」に絞れるため、画像広告(バナー)だけで運用を継続できます。
Q. 移行すると過去のデータは見られなくなりますか?
A. 移行完了までの期間であれば、元のディスプレイ広告キャンペーンの過去データにも引き続きアクセスしてレポートを確認できます。また移行ツールを使った場合は、過去42日分のパフォーマンス履歴が新しいキャンペーンに引き継がれます。
今回のGDN統合は、「ディスプレイ広告の終了」ではなく、「Demand Genという、より強力で柔軟な基盤へのアップグレード」です。移行ツールの提供は2026年6月から始まり、2027年中には対象キャンペーンの移行が完了する見込みです。
自社の現状に合わせて、以下のチェックリストを参考に今後の運用方針を検討してみましょう。
ケース①:リマーケティングやバナー運用中心で成果が出ている
⇒ チャネルコントロール機能で「GDNのみ」に設定し、既存のバナーアセットを使って現在の運用方針を維持・計測しながら、緩やかにDemand GenのAI最適化へ移行していけば問題ありません。
ケース②:動画素材がない
⇒ 画像広告やカルーセル広告だけで配信が開始できるため、無理に動画を作る必要はありません。まずは既存の静止画バナーで運用を開始しましょう。
ケース③:新規顧客の開拓・認知をさらに強化したい
⇒ Demand Genの「類似セグメント」や「YouTube Shorts / Discover」への配信拡張をテストする絶好の機会です。P-MAXや検索広告の前段階の上流施策として予算を組み込んでみましょう。
「Demand Genが自社に向いているのか知りたい。」
「検索広告やP-MAXと、どのように組み合わせればよいのか相談したい。」
そうしたご相談をいただくことがあります。
私たちevoliaでは、Google広告の運用だけをご提案することはありません。
まずは店舗の商圏特性や競合環境、生活者の行動を整理し、「どのようなお客様に、どのような接点をつくるべきか」という視点から広告戦略を設計しています。
同じ業種でも、立地や商圏、ターゲットが変われば、最適な広告の組み合わせは変わります。
だからこそ、広告メニューありきではなく、店舗集客全体を見据えた設計が重要です。
Demand Genへの移行をきっかけに、自社の広告戦略を見直したい方や、「店舗集客をもっと強化したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
広告の運用方法だけではなく、商圏分析や生活者理解を踏まえた店舗集客全体の考え方も含めて、ご提案いたします。